【化石】恐竜の胚化石「ベイビー・ルイ」の正体が判明
Nature Communications
2017年5月10日
「ベイビー・ルイ」として広く知られる恐竜化石について、今週掲載される論文では、巨大なオビラプトロサウルス類の新種恐竜の胚と同定されたことが報告されている。この化石は、1990年代の中国で恐竜の卵の巣の化石から初めて発見され、およそ8900万年~1億年前(白亜紀後期)と年代決定されていたが、このほど正式に記述された論文が発表された。
今回、Junchang Lu、Darla Zelenitskyたちの研究グループは、このベイビー・ルイの化石とこれまでに論文に記述された恐竜種を比較して鳥類様恐竜の分類群caenagnathid oviraptorosaurの新種と同定し、Beibeilong sinensisと命名した。これは、「中国の赤ちゃん恐竜」という意味で、中国語の「赤ちゃん」と「竜」をそれぞれピンイン表記したのが‘beibei’と‘long’で、 ‘sinensis’はラテン語で「中国の」という意味だ。この化石化した胚は、口先から尾の付け根までわずか38 cmの長さだが、体重1トン超(1,100 kg)まで成長する可能性があると過去の研究で推定されている。
このベイビー・ルイの胚とともに保存されていたのが、最も大きな恐竜の卵として知られるMacroelongatoolithusの部分化石だ。このタイプの卵はアジアと北米の白亜紀後期の化石記録にたくさん含まれており、このことは大型のcaenagnathid oviraptorosaurが、当時、広範囲に生息し、ありふれた存在であったことを示唆している。
doi:10.1038/ncomms14952
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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