【地球科学】ニュージーランドのアルパイン断層の極端な状態
Nature
2017年5月18日
ニュージーランドのアルパイン断層に掘削されたボーリング孔において極めて高い地温と流体圧が測定され、それが予想を大きく上回るものだったことを報告する論文が掲載される。アルパイン断層は、今後数十年のうちにマグニチュード8の地震によって破壊されることが予想されており、今回の研究は、地震についての理解を深め、断層帯の地質学的特徴を理解する上で重要な意味を持つ可能性がある。
アルパイン断層は、プレートの境界を形成する主要な断層の1つであり、ニュージーランドの南島の大部分に沿って南北方向に走っている。この断層は、約300年おきに大地震を引き起こしており、この断層の破壊が最後にあったのは1717年のことだった。今回の研究で、Rupert Sutherlandたちの研究グループは、アルパイン断層で科学的観測を行うためのボーリング孔を掘削し、断層内の熱水条件を調べた。
Sutherlandたちは、岩石と泥と地震の包括的観測結果を集め、ボーリング孔内の地温と流体圧が予想を大きく上回っており、特に断層の「上盤」側では平均地温勾配が深さ1キロメートル当たり摂氏約125度に達したことを明らかにした。平均地温勾配が深さ1キロメートル当たり摂氏約80度を超える場合には火山地帯が関係している傾向があるが、アルパイン断層の付近で火山活動が起こっていることを示す証拠はない。Sutherlandたちは、こうした極端な熱水条件が、急速な断層運動(より深い場所から岩石と熱を運搬する)と破砕した岩石を介した流体運動(谷に熱を集中させている)によって生じたと結論づけている。
doi:10.1038/nature22355
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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