Research Press Release
膵臓がんのサブタイプを識別
Nature Medicine
2011年4月4日
遺伝子シグネチャーを手がかりにして、膵臓がんの型の違いが決定できる可能性があるという。がんのサブタイプを示すこの遺伝子シグネチャーが、治療の効果を最大限にできるよう、特定の患者に特定の薬を使うのに役立つかもしれない。
膵管腺がん(PDA)は致命的ながんで、通常の全生存期間は診断後6か月である。他のがんに効果のある薬を使って多数の臨床試験が行われているが、任意抽出したPDA患者集団には効果は見られていない。ただし、一部の患者では確かに効果が見られることがある。他のがんでの研究によって、薬に対する反応性の違いは、がんの分子レベルの多様性が一因であることがわかっており、選択的に効果がある薬をがんのサブタイプに合わせて使うことにより、治療の成果を改善できることが明らかになっている。その最もよい例は、乳がんや肺がんの場合である。
PDAの分子レベルのサブタイプ同定は、これまで研究用の腫瘍標本が不足しているために限界があった。J Grayたちはこの問題を克服するため、いくつかの研究による原発性PDAサンプルと、ヒト、マウスのPDA細胞株とを併せて、遺伝子発現プロフィールの解析を行った。Grayたちはこの解析に基づいてPDAの3種類のサブタイプを定義し、臨床転帰と治療効果に違いがあることを証明した。
これらのサブタイプを特徴づける遺伝子シグネチャーは、個々のサブタイプを標的にした新しい薬剤の臨床試験設計に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/nm.2344
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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