円盤の物質を放出する回転するジェット
Nature Astronomy
2017年6月13日
ガスや塵の円盤がどのように降着して恒星や惑星を形成するのかを理解する上での重要なカギが、今週のオンライン版で公開される。この研究は、形成中の星を取り巻く円盤の最も内側の領域から放出される物質のジェットにおける回転の観測を報告するものである。
若い星を取り巻くガスと塵の円盤には、中心にある星よりも、より多くの角運動量が存在する。円盤の物質が形成中の星へと落下し、供給されるためには、角運動量が取り除かれなければならず、そうでなければ星自体がばらばらになってしまう(角運動量問題と呼ばれる)。角運動量のほとんどは、円盤風と呼ばれる大規模で広角な低速のアウトフローとして系から取り除かれ、物質が内側へと移動することを可能にする。
Chin-Fei Leeたちは、星の非常に近くで放出される、細く絞り込まれた高速ジェットが残りの角運動量を取り除き、円盤の物質が星へと降着することを可能にすることを観測した。Leeたちは 大規模な双極ジェットで知られている星である HH 212に最も接近した領域を観測するために、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計を用いた。彼らは、回転しているジェットのビーム内にいくつかの物質のクランプ(塊)を確認した。似たような観測はこれまでも行われたが、星に最も近いところの物質のノット(節目)の回転を確認することはできていなかった。著者たちは、ジェットが系から質量を取り除き、それによって過剰な角運動量を運び去ることを明らかにした。
doi:10.1038/s41550-017-0152
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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