中国の湖でリンが減少
Nature Geoscience
2017年6月13日
中国の湖におけるリン汚染は2006年から2014年の間に3分の1以上減少したとの報告が、今週のオンライン版で発表される。この研究によって、中国政府が2000年に導入した水汚染を減少させる政策が都市地域におけるリン汚染によって起きる藻類の異常発生のリスクを低下させることに役立ったことが分かったが、未開発地域にはリン濃度が上昇した湖もあるとしている。
富栄養化(栄養素利用可能性が増加したことによる藻類の異常な成長)は自然の湖でも起こりうる。しかしながら、人間活動の結果として栄養素を水域に放出することで富栄養化は世界中で拡大しており、水質の悪化、魚類の死滅そして生物多様性の低下をもたらしている。
Yan Linたちは、2006年から2014年までの間で中国全土862か所の湖で得られた水の化学的データを、その地方のリン発生源と流れと共に分析した。彼らは、リン濃度の中央値は、リン濃度が富栄養化をもたらす閾値の濃度まで減少したこと、そして極度に汚染された湖の数は3分の2に減少したことを発見した。下水設備が改善され下水汚物が減少したことが減少の主な原因であるが、より遠隔地でリン濃度が上昇している湖があることの原因はよく分からず、おそらく森林の衰えと浸食により影響を受けていると思われる。
同時掲載のNews & Viewsで、Jessica Cormanは、「Linたちの分析は中国が自国の湖の保護においてかなり大きな進歩を遂げたことを明らかにした」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2967
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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