Research Press Release
【環境科学】ダム建設によるアマゾン盆地の環境悪化
Nature
2017年6月15日
アマゾン盆地に建設されたダムが、その地域の水系の環境に多大な悪影響を及ぼしており、さらに計画中のダムが実際に建設されると、この悪影響のスケールと複雑度が増す可能性が高いという評価結果が明らかになった。この結果が記述されたPerspective論文が、今週掲載される。この研究では、ダム建設による水力発電が環境にもたらす恩恵が、世界で最も多様性が高く肥沃な水系であるアマゾン川に生じる損害予測を本当に上回っているのかという問題提起をしている。
アマゾン川流域でのダム建設による環境影響評価の大半は、それぞれのダムの周辺地域における局所的な規模の影響だけに着目している。今回、Edgardo Latrubesseたちの研究グループは、アマゾン盆地全体で既に建設されたダムの実際の環境影響と計画中のダムの環境影響予測を定量化するための新しいツールを考案した。Latrubesseたちの分析では、稼働中と計画中のダムの数に応じて環境影響に地域差が見られることが明確になり、水系が土砂流の変化に対してどれほど脆弱なのかを調べた。例えば、アマゾン川の主要な支流であるタパジョス川の流域は、計画中のダムが90件、建設済みのダムが28件と多いため、極めて大きな水文学的影響が生じるという予測が示された。タパジョス川の流域には、既存のダムと計画中のダムによって脅威にさらされると考えられているユニークな魚類種と鳥類種が生息している。
doi:10.1038/nature22333
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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