ある種のナノ粒子は妊娠マウスに影響を与える
Nature Nanotechnology
2011年4月4日
静脈内に投与したシリカナノ粒子や2酸化チタンナノ粒子がマウスに妊娠合併症をもたらしうることが、Nature Nanotechnology(電子版)で示唆されている。この研究によって、妊娠動物に対するナノ粒子の影響についての知見が得られる。 ナノ粒子が胎盤関門を通り抜け、マウスの仔に神経毒性を誘発することはわかっているが、妊娠動物に対する影響についてはまだ詳しくは解明されていない。堤康央(大阪大学)たちは、2酸化チタンナノ粒子やさまざまな大きさのシリカナノ粒子を妊娠マウスに投与した。その結果、2酸化チタンナノ粒子や最も小さいシリカナノ粒子を与えられたマウスでは、食塩水を与えられた対照動物よりも、子宮重量が軽く、胎児が小さいことがわかった。フラーレンなどの他の一般的なナノ材料では、合併症は生じなかった。堤たちは、シリカナノ粒子の表面をカルボキシル基やアミノ基で修飾すると、異常が消えることを示した。さらに、シリカナノ粒子と共にヘパリンを投与すると、子宮と胎児の異常が防止され、合併症には凝固系が関与していると示唆された。 この研究はマウスに対するナノ粒子の影響を明らかにしたものだが、堤たちは、マウスと人の胎盤は解剖学的にも構造的にも異なるので、この研究を人に外挿できないと警告している。とはいっても、リプロダクティブヘルスに対するナノ粒子の影響は考慮すべき重要な側面である。
doi:10.1038/nnano.2011.41
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