Research Press Release
未処理の臨床生検材料に用いる電光石火の3D顕微鏡法
Nature Biomedical Engineering
2017年6月27日
改良された顕微鏡によって大きな未処理の臨床組織検体を迅速に画像化する技術が、今週のオンライン掲載論文で発表される。今回の新しい方法を用いれば、臨床病理学者は標本全体を数分以内で三次元的に可視化することができ、術後腫瘍組織などの診断の正確さが向上する。
従来、組織検体が外科的に取り出されると、病理学者は、検査用にそれを調製するため、まずその構造を(化学的固定によって)保存し、続いてその組織を薄片化して、スライドグラスに載せた後に色素で染色を行う。この工程には手間暇がかかるため、どんな検体も、実際に顕微鏡で分析されて診断用の情報をもたらす組織片はごく少数にとどまる。この制約は臨床医の正確な判断を行う能力に大きく影響し、場合によっては誤分類を生じることもある。
検体の全体にわたって薄片をスキャンする蛍光顕微鏡を最適化することにより、Jonathan Liuたちは、外科検体が処理を行わずに数分以内で画像化されることを示した。研究チームは、その顕微鏡によって腫瘍切除断端が迅速に判定されること、標準的な組織病理学的プロトコルによる人工産物が生じないために臨床組織検体評価の正確さが向上すること、そして患者の診断が改善されることを明らかにした。
doi:10.1038/s41551-017-0084
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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