【古生物学】ジュラ紀の新種の滑空哺乳類の化石
Nature
2017年8月10日
このほど中国で発見された化石が、これまでに同定されたことのない2種類の哺乳類のものであり、1億6000万年前のものと推定され、高度に特殊化した性質(例えば滑空への適応)が混在する独特な状態だったことが明らかになった。この新知見は、今週掲載される2編の論文によって報告され、これまで古代の哺乳類に見られなかった独特な性質の組み合わせが示されている。
中生代に恐竜類とほぼ同時期を生きた哺乳類の祖先は、哺乳類の歴史の最初期における解剖学的進化と生態的多様化に関する非常に重要な証拠と言える。一方、初期哺乳類は、現生哺乳類の数多くのありふれた特徴も発達させた。滑空行動の発達は、進化における陸上の生息地から大きく異なる空中の生息地への重要な移行と言える。
今回、Zhe-Xi Luo、Qing-Jin Mengたちの研究グループは、中国でジュラ紀の髫髻山(Tiaojishan)累層から発掘された新種の滑空哺乳類2種(Maiopatagium furculiferumとVilevolodon diplomylosと命名)に由来する骨格と飛膜の化石について記述した論文を発表した。MaiopatagiumとVilevolodon は、いずれもハラミヤ類(最古の草食哺乳類で、哺乳類の進化上最も原始的な滑空動物として知られる)に分類され、知られるうちで最古の滑空哺乳類より約1億年早く進化したとされる。Maiopatagiumの飛膜の化石と融合した叉骨の化石は、鳥類のものに似ているが、肩帯は、哺乳類や有袋類よりも卵を産むカモノハシの現生種のものに近い。Maiopatagium furculiferumは、ムササビの現生種に外観が非常によく似ており、樹上生活し、生仔を出産する特定の有袋類と哺乳類に似た進化的適応が見られる。
Luoたちのもう1つの論文では、Vilevolodon diplomylosについての詳細な説明がある。その歯の生え変わりのパターンは、他の初期哺乳類の大部分に特有なもので、上下の2本の臼歯は臼と杵の形に似ており、柔らかい植物の組織と種子を砕いてすりつぶすためのものだった可能性が非常に高い。従って、これらの化石は、被子植物以前の植物(花をつけない植物)と関連性を有する最も初期の滑空するステム群草食哺乳形類とされる。
doi:10.1038/nature23476
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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