【工学】連結や分離によって形状を変える移動ロボット
Nature Communications
2017年9月13日
十分な感覚運動制御を保持しつつ、連結、分離だけでなく自己修復もできる自己再構成可能なモジュール型ロボットが実証された。今回の研究により、大きさと形状、機能を自律的に変えるロボットの作製が実現に近づくかもしれない。詳細を報告する論文が、今週掲載される。
多くのロボットは、センサーとアクチュエーターを中央処理装置(CPU)に接続させたロボット用神経系によって制御されている。しかし、そうした神経系は、たいていロボットの形状に厳密に合わせて張りめぐらされているため、その能力を柔軟に発揮する上では限界がある。集合体を形成できる複数のユニットからなるモジュール型ロボットを使用すれば、ロボットの適応性が向上する可能性があるが、これらのユニットによって形成できる所定の形状の数が少ないため、モジュール型ロボットの調整と制御には制約があった。
今回、Marco Dorigoたちの研究グループは、連結、分離によって独立したロボット体を新たに形成してロボット本体の適応性を高め、それぞれの課題や環境に対して適切な形状と大きさを自律的に選択するモジュール型ロボットを設計した。このロボットの神経系も連結、分離でき、感覚運動制御を維持している。このロボットは、正常に機能しない部品(正常に機能しない脳ユニットを含む)を除去し、あるいは交換することで自己修復もできる。また、積み木のような物体の発見、持ち上げ、移動のようなさまざまな機能も想定されている。このロボットシステムの実証は、10個のユニットを用いて行われたが、容易にスケールアップができるかもしれないとDorigoたちは考えている。また、Dorigoたちは、将来的にはロボットが特定の課題のために設計、製造されることはなくなり、今回発表したロボットシステムが、ゆくゆくはさまざまな課題要件に対応できるロボットの製造に着想を与える可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-017-00109-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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