Research Press Release
アラスカ氷原で氷河融解を増大させる微生物
Nature Geoscience
2017年9月19日
アラスカ氷原の雪中に棲む微生物は、表面を暗くして反射率を減少させ、それにより藻類の成長をさらに助長することにより氷河の融解を大きく加速させる可能性があるという報告が、今週掲載される。
新しい雪は太陽から入射するエネルギーの大部分を反射するが、黒色炭素や塵などの不純物は、表面を暗くし、反射されるエネルギーを減少させる。暗い雪の表面の温度はより容易に上がるため、このような汚れた雪は氷河の融解を増加させる。氷河上に生息する特殊な藻類は、雪の表面を赤色に変化させ、影響を受けていない雪よりも暗くするため、同様な効果がある。
Roman Dialたちは今回、氷河上で、氷河の雪の異なる領域に栄養素と水を加える実験を行った。その結果、擾乱を加えない対照地域と比較して、水を加えた場合には1.5倍の藻類が見られること、栄養素を含めた場合はほぼ4倍の藻類が見られることが分かった。著者たちは、地形全体の積雪を人工衛星データを用いて見積もり、雪を赤くする藻類は融解をおよそ17%増加させることを示している。藻類に覆われた赤い雪の地域はより多くの融解水を生成するので、藻類をより成長させて、氷河のさらなる融解を促すフィードバックをもたらす可能性がある。
doi:10.1038/ngeo3027
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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