植物園が生物多様性保全の課題を示す
Nature Plants
2017年9月26日
世界の植物種の約30%は、世界の植物園で本来の生態系から離れて保全されている、という論文が、今週掲載される。そうした種の40%以上は絶滅の恐れがあると考えられている。しかし、植物園のコレクションに関するこの包括的な調査は、保存される種の中の大きな溝を示しており、温帯植物と熱帯植物の間に格差があることから、植物園はかなりの能力を新たな絶滅危惧種の保全に振り向ける必要がある。
植物園は、植物を自生地で維持・研究するin situ保全と、植物種を生育地から離れて保存・栽培するex situ保全の両方に取り組んでいる。このことは、そうした植物の研究とともに、将来(本来の生育地が脅かされた場合)のための保護を可能にする。従って、植物コレクションの植物種の多様性は、植物園そのもの、植物科学者、および社会全般の利益に関わる問題である。
Samuel Brockingtonたちは、世界各地の1116施設のコレクション、およびそうした施設にある特定済みの10万5634種を分析し、全植物属の半分以上がそうした植物園で本来の生育地を離れた状態で見られることを明らかにした。しかし、植物園によって収集・維持される可能性は、温帯植物種が60%であるのに対し、熱帯種は25%にとどまっていることが分かった。これは、熱帯植物をex situで維持するコストが高いことを反映していると考えられる。研究チームは、植物園が業務を継続し、極めて重要であるにもかかわらず維持管理が不十分な種のコレクションを充実させるために、植物園への公的な支援が不可欠であることを示唆している。
doi:10.1038/s41477-017-0019-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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