衝突により起きた地球の最も初期のテクトニクス
Nature Geoscience
2017年9月26日
小惑星の衝突が、40億年以上前に地球上で地殻の再循環を起こす引き金となった可能性があることを示唆した論文が、今週掲載される。この研究は、初期地球はテクトニクス的には不活発だったという仮説に疑問を投げ掛けている。
40億年以上前の冥王代の地球についてはほとんど分かっていないが、この時代の地球内部は、地殻とマントルの間では混合がほとんど起きていなかったという一部の証拠から、プレートテクトニクスを維持するには高温過ぎたと考えられている。しかしながら、現在残っている最古の地質学的物質である古代のジルコン粒子から、プレートが他のプレートの下に沈み込んでいる現在の沈み込み帯で見られているのと似た地殻再循環の証拠も得られている。これを説明できるのは、初期太陽系では現在よりもよく起きていた過程である衝突クレータ形成が、我々が知っているようなプレートテクトニクスが始まる前に沈み込みを始動させたという考えである。
Craig O’Neillたちは今回、数値モデルを用いて大規模な衝突が地球のテクトニクス進化に及ぼす影響をシミュレーションした。彼らは、衝突事象によりもたらされるエネルギーが地球内部を加熱し、マントル物質を上昇させるプリュームを生じさせることを見いだした。これが初期地球の薄く弱い沈み込むプレートのマントルへの沈み込みを駆動することとなった。テクトニック・プレート境界にある現在の沈み込み帯とは対照的に、シミュレーションされた沈み込み事象は地理的に局所的で短命であった。従って地球は、衝突の規模と頻度により、テクトニクス的に不活発な状態から活発な状態へと交互に変わっていたことになる。
関連する「Sketch-up」でJames Tuttle Keaneは、衝突を考慮したときに初期地球のダイナミクスは、それがない場合と比べてどのように異なって進化するかを描いている(「Sketch-up」は論文についての手描きの情報画像(infographic)である)。
doi:10.1038/ngeo3029
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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