【医学研究】元ラグビー選手の健康問題
Scientific Reports
2017年9月28日
かつてエリートラグビー選手として活躍していた男性は、変形性関節症や骨粗鬆症を発症するリスクと関節置換手術を受けるリスクが高いことを報告する論文が、今週掲載される。
今回、Madeleine Davies、Nigel Ardenたちの研究グループは、自己申告による質問票を使って、エリートラグビー選手だった男性259人の健康のさまざまな側面を評価し、一般集団の年齢標準化サンプルの場合と比較した。その結果分かったことは、50歳以上の元ラグビー選手が、英国縦断的高齢化調査(English Longitudinal Study of Aging; ELSA)の参加者5186人と比べて、骨粗鬆症や変形性関節症にかかり、関節置換手術、人工股関節や人工膝関節の置換手術を受ける可能性が高かったことだ。また、元ラグビー選手は、イングランド健康調査(Health Survey for England)の参加者2981人と比べて、運動性と疼痛/不快感について問題があることを報告する確率が2倍高いことも判明した。これに対して、元ラグビー選手が糖尿病を発症するリスクは有意に低く、この点については、一生の運動量が多いことの反映である可能性があるが、いずれのグループについても現在の運動に関するデータがないため確認できていない。
Daviesたちは、元エリートラグビー選手が変形性関節症を発症するリスクが高いため、ラグビー選手に対して将来を見越した教育と管理を行う必要があると提案している。また、今回の研究に参加したのは、アマチュア時代のラグビー選手だった人々であり、現代のプロのラグビー選手とは、選手の体格など多くの点が異なっているため、今回の研究によって得られた新知見を現代のプロのラグビー選手、女性選手や運動量の少ない一般の愛好家に適用できるかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要となっている。
doi:10.1038/s41598-017-12130-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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