メタンの爆発で暖められた古代火星
Nature Geoscience
2017年10月3日
古代の火星は地下に蓄えられたメタンの爆発的噴出により加熱された可能性があるという報告が今週掲載される。この発見は、普段は凍結した惑星に間欠的に湿潤的気候が存在した証拠を説明できるかもしれない。
火星の堆積物(現在、ゲール・クレーターでキュリオシティ探査機により、探査が行われている)は、火星には30億年前より後に液体の水の湖が存在したことを示唆しているが、この時代の火星は大部分は低温で乾燥していた。このような湖を形成できるために十分な気候温暖化がどのように起きたか、また地質学的証拠が示すように数千年にわたり、このような湖が継続して存在するために十分な期間温暖な気候が継続したかを説明することは困難であった。
Edwin Kiteたちは、数値シミュレーションを用いて強力な温室効果ガスであるメタンが大気中に放出されたことによる温暖化で、湖が存在し継続したことの両方を説明できると提案している。このシナリオでは、惑星の軸の傾斜変化が惑星の氷環を縮小させる可能性がある。地球と同じようにメタンは土壌中に蓄えられ氷の下に捕獲される。氷環が取り除かれると、保存されたメタンは不安定になり爆発的な大気中への噴出が起きる。著者等は、この過程により古代火星で湖を形成する気候を形成するために十分なメタンが放出されると計算している。メタンは火星大気中で徐々に分解するが、著者等はそれぞれの温暖な期間は最大百万年間継続したと見積もっている。
関連するNews&ViewsでAlberto Fairenが、「Kiteらが提案しているメタン爆発シナリオは、天文学的、地球化学的、および地質学的な広範な関連から生じた初期火星における水の存在という考えの出現に寄与している」と書いている。
doi:10.1038/ngeo3033
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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