【惑星科学】成長速度が鈍っていた火星の火山
Nature Communications
2017年10月4日
火星の火山が成長する速度は、地球の火山よりもかなり遅いことを明らかにした論文が、今週掲載される。この新知見は、隕石を用いて火星上の1つの火山の進化を初めて再現した研究によって得られた。
火星の火山は、太陽系で最も大きく、通常はマントルプリュームによって形成されるが、このマントルプリュームは地球(例えば米国ハワイ)で見られるものに似ている。火星の地殻は、地球の地殻のように移動してマントルプリュームに覆いかぶさることがないため、火星の火山は、極めて長時間にわたって同じ場所で噴火を続け、その結果、超大型の火山が形成される。しかし、火星上での直接サンプリングが難しいため、火星上の火山の進化を突き止めることは難題だった。
今回、Benjamin Cohenたちの研究グループは、ナクライト隕石が約1070万年前の1回の衝突事象の後に形成された火星上の1つの火山から放出されたことを発見した。Cohenたちは、これらのナクライト隕石の年代を決定し、この火山が100万年当たり0.4~0.7メートルの速度で成長し、約9300万年間に4回の個別の噴火事象があったとする再現結果を明らかにした。この新知見は、火星の火山の成長速度が、それに似た地球の火山(例えば米国ハワイ州のマウナケア火山)の1000分の1で、このことで火星上の火山活動に関する我々の理解を改める必要が生じていることを示しており、火星史上の初期にこれまで考えられていた以上に活発な火山活動があったことを示唆している。
doi:10.1038/s41467-017-00513-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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