コロナの温度を説明する微小な爆発の「明白な証拠」
Nature Astronomy
2017年10月10日
太陽大気の上方部分が表面部の数千倍も高温になることがあるのが、どのような仕組みなのかの説明となり得る研究が、今週報告される。研究では、太陽の爆発活動を示していない活動領域の上方に、非常に高温な太陽プラズマを発見したことを報告しており、ナノフレアの存在が示唆される。
太陽大気の上層部であるコロナは、視覚的な太陽表面である光球よりも高温で、数百万ケルビンである。この温度の差異の背後にあるメカニズムと、太陽コロナがどのように非常に高温になるかを確定することは、太陽物理学の主要なテーマの1つである。太陽の爆発(フレア)はコロナに大量のエネルギーを注入するが、フレアはめったに起こらないため、その温度を維持することはできない。ただし太陽フレアがそれほど高エネルギーでなければ、より頻繁に発生し、その場合、コロナを加熱するには多数の非常に小さなフレア(ナノフレア)で十分であるという可能性が示唆されている。だがこれまで、これらの爆発現象はあまりに小さ過ぎるため、現在の観測機器で確認することはできなかった。
宇宙航空研究開発機構の石川真之介(いしかわ・しんのすけ)らは、FOXSI-2観測ロケットによって得られた太陽の活動領域のX線測定を分析した。可視光でのフレアの活動を示さない領域にわたって、1000万ケルビンを超えて加熱されたプラズマの特徴である、非常にエネルギーの高いX線が確認された。著者らは、そのような加熱されたプラズマがナノフレアの作用によってのみ生じる可能性があると結論付けた。
これらの観測は、NuSTAR探査機や次世代のFOXSIの打ち上げなど、将来の観測機器による、さらなるX線観測を対象とした計画への道を開くものである。これらの加熱現象に関する観測数の増加は、コロナ加熱におけるナノフレアの役割をより理解することにつながる。
doi:10.1038/s41550-017-0269-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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