Research Press Release
【遺伝学】強迫性障害に関連する遺伝子
Nature Communications
2017年10月18日
遺伝子解析が行われた結果、強迫性障害(OCD)に関連するヒトの遺伝的バリアントが複数発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、これらのバリアントの影響を受ける遺伝子と神経経路が精密に特定された。こうした遺伝子を単離して特徴解析を行うことは、OCDの生物学的基盤の解明とOCDの治療法の開発に役立つ可能性がある。
OCDは、非常に遺伝性の高い神経精神疾患で、脳裏に侵入してくる思考、そして、時間を浪費する反復行動を特徴とする。OCD患者は世界中で8000万人を超えており、大部分の患者の症状は現在利用可能な治療法で緩和することができない。これまでにヒト、マウス、イヌを対象とした研究が行われて、OCDに関係している可能性のある複数のバリアントが明らかになっているが、ヒトについては具体的な遺伝子とバリアントの検証は行われていない。
今回、Huyn Ji Nohたちの研究グループは、608個の候補遺伝子の塩基配列データの解析を行って、ヒトの症例でOCDと強く関連する4個の遺伝子を見いだした。これらの遺伝子は、OCDに関連する神経経路(セロトニンとグルタミン酸のシグナル伝達経路とシナプス接続の経路など)で作用し、こうした経路が治療標的となる可能性が示唆されている。今回の研究で得られた知見は、強迫行動の生物学的基盤に関する新たな手掛かりをもたらしている。
doi:10.1038/s41467-017-00831-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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