【科学データ】野生のチンパンジーの性格特性は安定していることが分かった
Scientific Data
2017年10月25日
ジェーン・グドールが有名にしたゴンベ国立公園(タンザニア)のチンパンジーを対象として約40年を隔てて実施された2回の性格評定によってチンパンジーの性格が安定していることを示す徴候が見つかった。この研究では、最近収集された性格特性データと前回の1970年代の調査において記録されたデータの比較が行われた。これによりチンパンジーとその他の霊長類(ヒトを含む)における性格の進化について解明が進むことが期待されている。こうした研究成果を報告するAlexander Weissたちのグループの論文が、今週掲載される。
霊長類における性格の変動とその進化上の重要性に関する我々の理解は不足している。その原因は、野生環境での研究が数種の霊長類についてしか行われていないことにある。かつてジェーン・グドールは、ゴンベ国立公園のケナガチンパンジー(Pan troglodytes schweinfurthii)の性格を生き生きと描写した書物を発表して、世界の人々の注目を集めた。しかし、ケナガチンパンジーの性格特性を系統的に定量化する試みは1973年に一度行われただけだった。その研究では、研究者が性格に関する質問票を用いて24頭のチンパンジーの性格を評定した。これらの研究者とチンパンジーは、数か月から数年の「付き合い」があった。
このWeissたちの論文には、ゴンベ国立公園に生息する野生のケナガチンパンジー128頭の性格が記述された評定データが示されている。この性格評定を行ったタンザニアのフィールドアシスタントは、これらのチンパンジーの追跡調査を何年も続けており、広く認められたチンパンジーの性格に関する質問票から選んだ24の測定項目(例えば、興奮性、繊細、援助性、詮索好き)を用いて詳細な行動観察データを収集した。今回の性格評定と約40年前の研究における性格測定項目の評価が相関しており、このことは、ケナガチンパンジーが安定した性格特性を持っていることを示しているとWeissたちは考えている。(つまり、性格特性は、時がたつと何らかの変化が生じるものの比較的安定した状態で推移するということだ。これは、背の高い子どもが背の伸びる時期と伸びが停滞する時期を経て、最終的には背の高い大人になる傾向があることに似ている。)
doi:10.1038/sdata.2017.146
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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