Research Press Release
【生物多様性】効果的な環境保全を実現するためのコスト
Nature
2017年10月26日
今週掲載される論文で発表される証拠に基づく新モデルを使って、環境保全を目的とした資金提供が生物多様性減少に及ぼす影響の予測が行われた。世界の国々は、特定の生物多様性目標の達成を目的とした資金の拠出を決定する必要があり、地球全体の生物多様性に関する政策における最も重要な戦略的決定の1つとなっている。この論文に示されたモデルは、この戦略的決定を行う者に対して有益な情報を提供する手段と言える。
生物多様性の減少に歯止めをかけることは、生物多様性条約と国連の持続可能な開発目標の両方で大きな目標となっているが、目標達成への歩みは鈍く、投資によって何がもたらされるのかという点に不確実性があるために資金拠出に関する決定が迅速になされない。
今回、Anthony Waldronたちの研究グループは、生物多様性条約を締約した109か国において1992~2003年の環境保全に対する資金提供が1996~2008年の生物多様性減少にどのような影響を及ぼしたのかを評価するモデルを開発した。環境保全に対する資金提供によって、生物多様性減少が1国当たり平均29%緩和され、その結果に対する社会経済的圧力の影響が大きかったことをWaldronたちは報告している。人間の開発圧力が増すと、環境保全に対する支出による効果が縮小するが、このことは、時が経つにつれて資金額を増やす必要があるかもしれないことを示している。
doi:10.1038/nature24295
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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