【言語学】数百年にわたる言語の進化過程
Nature
2017年11月2日
12~21世紀の文例をデジタル化した大量のデータが解析され、英語の進化に関する新たな知見が得られたことを報告する論文が掲載される。
言語と遺伝子は、いずれも1つの世代から次の世代へ伝播し、各段階で、ランダムな揺らぎと自然選択という2つの機構によって変化することがある。今回、Joshua Plotkinたちは、デジタル化された注釈付き文例を集めた膨大な言語資料を解析し、英語文法の3つのよく知られた変遷に着目して、言語の進化における上記2機構の相対的寄与を評価した。3つの変遷とは、動詞の過去形の規則化と迂言的な‘do’の使用(例えば‘do you know?’という語句)と動詞の否定文の変遷であった。
その結果、英語において2つの進化機構の両方が働いていることが分かった。ランダムドリフト(機会的浮動)は、ありふれた単語よりもまれな単語の方が大きく、言語においてまれな単語の方がありふれた単語よりも他の単語に取って代わられる可能性が高いことの説明になるかもしれない。しかし、一部の動詞において規則的な過去形よりも不規則な過去形が選択される(‘lighted’より‘lit’が選ばれ、‘dived’より‘dove’が選ばれる)現象が見られ、上述の傾向に反しているように思われる。Plotkinたちは、時とともに押韻パターンが変化したことで、こうした現象が起こった可能性があるという考えを示している。例えば、‘dove’の選択の増加と不規則な過去形‘drove’の用例の増加は同時発生する。
デジタル化された膨大な言語資料と集団遺伝学による推論を組み合わせることで、言語の進化を引き起こす力に関する貴重な手掛かりが得られることがあり、このことが今回の研究で得られた知見によって示された。
doi:10.1038/nature24455
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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