Research Press Release
数百万人に食物を供給し水を節約するための穀物分布の最適化
Nature Geoscience
2017年11月7日
穀物の分布を最適化するように農業の状況を設計できるならば、世界中でさらに8億2500万人に食物を供給し水資源を保護することが可能となると結論した論文が、今週掲載される。そのような最適化過程の適用は、文化的障壁や食物の嗜好のためにある程度は制限される可能性があるが、技術的に大きな投資を必要とすることもなく生物多様性が失われることもないという利点があり、持続可能な農業の強化のために強力な戦略となる。
全球の人口増加に伴って、今後数十年で、より豊かな食物への要求と生物燃料の使用が予想されており、穀物生産を増やさなければならない。しかし、資源は限られていることから、持続可能な強化のためには、水、肥料およびエネルギーなどの資源を保持しながら既存の農地において生産を増加することが必要である。
Kyle Davisたちは、作物水分モデルを14か所の主要な食物作物産地の地図とともに用いて、食物生産を増加させる可能性を、全球で開墾した土地における穀物の空間的な再配分によって検討した。その結果、10%多いカロリーと、19%多いタンパク質を生産できる穀物の配置が見いだされ、穀物の再配分は、国家が食物輸入に依存する度合いの減少に役立つことが示唆された。このような穀物の再配置は雨水の消費利用を14%減少させ、灌漑水の利用を12%減少させると考えられる。
doi:10.1038/s41561-017-0004-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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