【気候科学】インドの二酸化硫黄排出量が中国を上回る
Scientific Reports
2017年11月10日
人為起源の二酸化硫黄(SO2)の排出量に関して、インドが中国を上回り、世界最大の排出国としての道を進んでいるとの調査結果が、今週掲載される。調査では、2007年以降、中国における二酸化硫黄排出量は75%低下したのに対し、インドでは50%増加したと報告されている。
中国とインドは、世界における石炭の消費量の上位1、2位を占めており、汚染予測とその緩和のための大気質モデルへの入力に必要な二酸化硫黄の排出源に関して、正確な情報が求められている。しかし、この2か国については経済と環境規制の急速な変化のために、予測不可能な排出量の変化が起こることが多く、そうした情報の入手は困難だった。
Can Liたちは、2005~2016年に中国およびインドにおける二酸化硫黄による汚染の変化を調査するために、NASAのAura観測衛星に搭載されたオゾン観測装置から得られた二酸化硫黄の衛星データを解析した。著者たちは、中国からの二酸化硫黄の排出量は、2007年に年間約36.6メガトンのピークを迎えた後は、おおむね減少傾向にあることを見いだした。2016年には年間8.4メガトンで、2005年における水準の26%であった。それに対して、インドでは、2016年の二酸化硫黄の年間排出量が約11.1メガトンと算出された。著者らは、このような変化にもかかわらず、もやは中国において依然として深刻な環境問題であり、他の汚染物質の排出量を減らすことが今なお重要であると主張している。
doi:10.1038/s41598-017-14639-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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