【古生物学】恐竜の絶滅には小惑星の衝突場所が寄与した
Scientific Reports
2017年11月10日
恐竜を絶滅させた小惑星の衝突は、地表の約13%を占める炭化水素リッチな地帯でなければ大量絶滅を生じなかった、とする研究論文が、今週掲載される。
6600万年前、現在のメキシコで起こったチクシュルーブの小惑星衝突は生態系を崩壊させ、陸上の植生を破壊して、恐竜と約75%の陸上・海洋動物を絶滅させた。過去の研究では、岩石中の炭化水素が小惑星の衝突で燃焼して成層圏のすすと硫酸塩エアロゾルを生じ、極度の地球寒冷化と乾燥が起こったことが明らかにされている。しかし、岩石中の炭化水素と硫黄の量は場所によって大きく異なることから、絶滅事象の確率は衝突の場所に依存したと考えられる。
海保 邦夫(かいほ・くにお)と大島 長(おおしま・なが)は、地中に存在する炭化水素と硫酸塩の量に基づいて、仮想の小惑星衝突で生成する成層圏のすすと硫酸塩の量を計算した。20、200、500、1500、および2600テラグラム(Tg)という5段階の量のブラックカーボン(すすに相当)を用いて、小惑星の衝突が生じる気候への影響を推定した。その結果、炭化水素濃度が高い、または極めて高い地帯(成層圏へ入るブラックカーボン230~590 Tgおよび590~2300 Tgに相当)では、世界の平均地表気温の低下が大量絶滅を引き起こす条件を発生させるものとなることが分かった。しかし、炭化水素濃度がそれに満たなければ、大量絶滅は起こらないと考えられた。研究チームは、地表の約13%がこの大量絶滅を引き起こすための要件を満たすと計算している。
doi:10.1038/s41598-017-14199-x
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