Research Press Release

【天文学】冥王星の大気温度が低い原因は大気中の「もや」

Nature

2017年11月16日

冥王星の大気温度が低いことは大気中の「もや」によって説明できることを報告する論文が、今週に掲載される。

冥王星の大気温度は、これまで考えられていたよりもかなり低いことが、最近の冥王星の観測結果によって明らかになり、未知の冷却プロセスの存在が示唆されている。冷却材として考えられるものの1つが水蒸気だが、この場合の水蒸気は、平衡状態からの逸脱が通常より数桁分多くなっている必要がある。

今回、Xi Zhangたちの研究グループは、モデル研究を行い、冥王星の大気温度がガス分子ではなく、炭化水素の「もや」粒子によって制御されており、これが太陽系内で独特な機構であることを明らかにしている。また、もや粒子の太陽加熱速度と熱冷却速度は、他の惑星の大気中によく含まれているガス分子よりもはるかに高いことも明らかになった。

もや粒子は、冥王星の地表から高度700 kmまでの大気の放射平衡に大きな影響を及ぼしており、高度700 km超の大気は、熱伝導によって等温に保たれている。もやは、冥王星の放射エネルギー平衡(惑星に入射する太陽エネルギーと惑星から放射されるエネルギーのバランス)に影響するため、Zhangたちは、冥王星が、中赤外波長でこれまで予測されていた以上に明るいと予測している。この予測は、2019年に打ち上げられるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって検証可能だと考えられている。

doi:10.1038/nature24465

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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