大きな獲物のためにくちばしを大きく
Nature Ecology & Evolution
2017年11月28日
北米での絶滅が危惧されている鳥類「タニシトビ」は、普段捕食しているものよりも大型の巻き貝が生息範囲に侵入してから10年で、体とくちばしが大型化した。今週掲載されるその知見は、侵略的被食種に反応した捕食種の急激な変化を示す特異な実例である。
タニシトビ(Rostrhamus sociabilis)は、湾曲したくちばしと長い爪を使い、リンゴガイの身を殻の中から引き出す。この鳥の個体群は急激に縮小してきたが、2016年に発表された研究で、その個体数が増加に転じたことを明らかになった。それと並行して、その生息範囲には侵入した別種のリンゴガイ(Pomacea maculata)が広がった。これは意外なことであった。というのも、その侵略的巻き貝はタニシトビが常食とするものよりもはるかに大型で、一般にタニシトビは大きなリンゴガイの身を取り出すのが難しいためである。
今回Robert Fletcher Jrたちは、過去10年間(タニシトビにとってわずか1.5世代)ほどの間に、タニシトビの全体的な体重と相対的なくちばしのサイズが大型化していることを報告している。また、体とくちばしが小さいよりも大きい若鳥の方が、生後1年間を生き延びる可能性が高いことも明らかにされた。統計的に調べたところ、この結果は、現時点では遺伝的な変化ではなく、発現した表現型の変化である可能性が最も高いことが分かった。しかし研究チームは、今回明らかになった侵略的被食種に対する捕食者の反応の初期段階が、まもなく起こる進化的変化の予兆である可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41559-017-0378-1
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