【生態学】森林伐採がスマトラトラ絶滅の脅威を加速させている
Nature Communications
2017年12月6日
スマトラトラ(Panthera tigris sumatrae)の極めて重要な生息地において2000~2012年に起こった森林伐採と分断化のために絶滅の脅威が増していることを報告する論文が、今週掲載される。その一方で、残存する森林でスマトラトラの個体数密度が上昇しており、このことは、スマトラトラを絶滅から守るために森林保全にもっと力を注ぐことの必要性を示している。
絶滅危惧種の分布と個体数を把握することは保全活動の構築に必須だが、個体数の算定方法に一貫性がないことがそうした評価の妨げになっていた。今回Matthew Luskinたちの研究グループは、新しい個体数算定法を用いて、過去20年間のスマトラ島全体におけるスマトラトラの個体数を推定した。Luskinたちは、過去に発表されたスマトラトラの推定個体数密度と新たにさまざまなタイプの森林を対象とした(カメラトラップと捕獲再捕獲法に基づく)これまでよりロバストな監視データをまとめた結果を示している。
このデータから、2000~2012年にスマトラ島全体でスマトラトラの個体数が16.6%減少した可能性があり、減少率に地域差のあったことが明らかになった。しかし、1996年以降の保護林における個体数は年4.9%の割合で増加していた。この結果は、スマトラ島のトラの絶滅を防ぐために森林伐採の抑制策の強化が必要なことを示している、とLuskinたちは結論付けている。
doi:10.1038/s41467-017-01656-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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