Research Press Release
【気候科学】高めの地球温暖化予測
Nature
2017年12月7日
21世紀末の時点での地球温暖化は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最も高い排出シナリオによる温暖化を約15%上回る可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。
人為起源の温室効果ガスの排出による地球気候の温暖化が今後も継続することは、さまざまな気候モデルによって示されているが、温暖化の予測内容は気候モデルによって大きくばらついており、気候変動の緩和と適応のための活動を複雑なものにしている。
今回、Patrick BrownとKen Caldeiraは、現在利用可能な数々の気候モデルの評価を行い、地球の大気上端におけるエネルギー収支の観測データを使って、モデルの絞り込みを行った。BrownとCaldeiraは、観測結果を忠実にシミュレートするモデルに着目し、最も高い排出シナリオによる21世紀末までの温暖化予測を観測データを加味して行い、IPCCの報告書に記載された温暖化予測を約15%上回り、これまでの予測に伴う不確実性が3分の1低減されることを明らかにした。
観測データによって絞り込まれた気候モデルに基づいた予測では、21世紀末までの地球温暖化が高めになる傾向のあることを指摘した研究論文が増えてきているが、今回の論文もその1つだ。従って、どのような気温安定化目標を達成する場合でもこれまでの算定結果を上回る温室効果ガス排出量の削減が必要となる。
doi:10.1038/nature24672
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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