【物理学】カフェラテの科学
Nature Communications
2017年12月13日
熱いエスプレッソを暖かい牛乳に注ぐと複数の層が生じるという独特な性質があるが、それは特定の注入速度に限られることが実験で明らかになった。この新知見は、ソフトマテリアルに層状構造を生み出す直接的方法を明らかにする上で役立つと考えられる。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
熱勾配によって流体の一部が加熱されて軽くなり、別の一部が冷却されて高密度になって対流セルが発生すると、流体中に独特なパターンが生じる。2つの異なる種類の勾配が競合すると、これに似た効果(二重拡散対流)が生じることがあり、塩分勾配と温度勾配の競合を原因とする海洋の層化が観測されている。
今回、Howard Stoneたちの研究グループは、日常のさまざまな場面(例えばカフェラテの作成)で層化がどのように起こるのかを解明するため、コーヒー飲料を模倣した実験的液体を使って実験を行い、カフェラテにおいて密度の異なる複数の層が出現する原因機構が二重拡散対流であることを明らかにした。この研究では、熱いエスプレッソと暖かい牛乳の温度差を原因とする熱勾配とエスプレッソの注入を原因とする密度勾配が競合していることが実験によって明らかになった。Stoneたちは、複数の層が形成するために必要な臨界注入速度が存在し、これより低い注入速度だと液体は混ざり合うが、複数の層に分かれないことを報告しており、この日常生活の実例を利用して、工業環境でソフトマテリアルに層状構造を容易かつ反復的に作り出せるという考えを示している。
今回の研究で提案された層形成法は、食品科学と材料科学の分野での応用が有望視されている。
doi:10.1038/s41467-017-01852-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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