【免疫学】概日リズムが免疫系の健康を保っている
Nature Communications
2017年12月13日
生物時計と時間帯が免疫応答にどのような影響を及ぼすのかという点に関する知見が、マウスの研究によって明らかになり、この結果を報告する論文が、今週掲載される。概日リズムと24時間周期の昼夜サイクルとの相互作用の影響を解明できれば、自己免疫疾患を軽減するための薬物ターゲティング法にとって有益な情報が得られる可能性がある。
概日リズムとは、地球上の生命体の活動を24時間周期で調節する生物時計のことで、概日リズムを良好な状態に維持すれば、ヒトの健康につながると一般に考えられている。一方、概日リズムの変調(例えば夜勤)は、多発性硬化症のような免疫疾患と関連付けられてきている。ただし、その基盤となる分子的つながりは解明されていない。
今回、Kingston MillsとAnnie Curtisたちの研究グループは、免疫応答の誘導と自己免疫の制御が、免疫化を行う時間帯に左右されることを明らかにした。この研究では、マウスをモデル生物として用いて、時間帯の合図を感知し、この合図に作用して炎症を抑制できるのはマスター概日遺伝子の1つ(BMAL1)のためであることが明らかになった。また、BMAL1遺伝子の欠失や昼頃の免疫化の実施によって、多発性硬化症のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎が重症化した。
概日リズム又は時間帯の合図を正確に調節して有益な免疫力を得る方法を理解するためには、さらなる研究が必要だが、この論文に示された知見は、免疫系に取り組む際に「正確に時を刻む」ことが重要であることを気付かせる役割を十分に果たしている。
doi:10.1038/s41467-017-02111-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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