Research Press Release

【工学】デンキウナギから発想した電源はしびれるほど強力

Nature

2017年12月14日

デンキウナギから着想した電源について報告する論文が、今週掲載される。この電源コンセプトは、ソフトロボットの電源に利用できる可能性がある。ソフトロボットの電源は、軟質な材質で、コンセントに差し込まないことが必要とされる。

生体への技術の組み込みが進んできている現在、生体適合性があり、機械的に柔軟で、生物システム内に存在する化学エネルギーを利用できる電源が必要となっている。

デンキウナギは、100ワットの大電力を放出して被食者を気絶させることができるが、電池を持っていない。電池の代わりになっているのが、数千個の特殊化した細胞(電気細胞)で、大電力が放出されるように積み重なっている。今回、Michael Mayerたちの研究グループは、ヒドロゲルを用いて、電気細胞の一部の特徴を模倣した管状系を開発し、この構造体を慎重に折り紙のように折り畳んで、放電の制御に役立てる方法を設計した。その結果、デンキウナギのように高電圧を発する電源が得られた。

これは、生体適合性を有する可能性のある材料から作られた軟質で柔軟性のある透明な人工発電器官の初めての実例だ。Mayerたちは、次世代の設計によって性能が向上すれば、今回開発されたシステムから、移植組織、各種ウエアラブル技術とその他のモバイル機器のための電気エネルギーへ道が開かれる可能性があると結論付けている。

doi:10.1038/nature24670

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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