【持続可能性】都市へのアクセスの良し悪しを示す世界地図
Nature
2018年1月11日
全世界の各都市がもたらす各種サービス、制度やビジネスチャンスの利用可能性に関して、これまでで最も詳細な比較評価が行われた。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
医療サービス、教育、就職、銀行・金融機関などのリソースが集中している都市部へのアクセスが悪いと、暮らしの改善と全般的な成長にとっての大きな妨げになる。このアクセスを全世界で改善できれば、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)に定める「誰一人取り残さない」という公平性の目標の達成が確実になる。これまでに世界規模でのアクセスの評価が一度だけ2000年に行われているが、近年のインフラネットワークの拡大、とりわけリソースが不足していた地域での拡大とデータの質と利用可能性が大きく向上する前のことだった。
今回、Daniel Weissたちの研究グループは、最寄りの都心部までの所要時間という尺度によってアクセスの良し悪しを測定した。ここで「最寄りの都心部」は、調査対象地域に隣接する人口密度が1平方キロメートル当たり1500人以上の地域又は大部分が開発済で居留区の人口が5万人以上の地域と定義された。Weissたちは、道路と都市の地理情報に関する大型データソースを統合して、2015年の都市への所要時間を定量化した高解像度(約1平方キロメートル)の地図を作成した。その結果、世界人口の80%が都市から1時間以内の地域に居住しているが、富の大小に応じてアクセスの良し悪しが認められた。つまり、都市から1時間以内に居住している人々は、(サハラ砂漠以南のアフリカに集中している)低所得層のわずか半数(50.9%)であるのに対して、(ヨーロッパと北米に集中する)高所得層の90.7%となっている。
今回の研究は、自然保護区域に対する遠隔性の保護効果を明確にする研究や不必要な環境破壊を避ける戦略的な道路建設の必要性を高める研究など今後の地理空間モデル研究にとって有益な情報をもたらしている。
doi:10.1038/nature25181
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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