【神経科学】友達になる可能性を神経応答から予測する
Nature Communications
2018年1月31日
友人関係にある人々の脳は、視聴するビデオクリップ中の出来事に対する応答が似ていることを明らかにした論文が、今週掲載される。このような神経応答の類似点は、社会的ネットワーク上の個人間の距離が遠くなるにつれて減った。今回の研究では、この関係性を用いて社会的ネットワーク内に特定の友人関係が形成される可能性を予測できることが明らかになった。
これまでの研究から、年齢、ジェンダー、民族性やその他の人口統計学上の区分が類似している人々が友人関係を形成する傾向にあることが明らかになっている。しかし、友人関係にある人々は、外的性質が似ているだけでなく、周囲の世界をどのように経験するのかという点も似ている可能性があるのかどうかは明らかになっていない。
今回、Carolyn Parkinsonたちの研究グループは、279人の大学院生のコホートの社会的ネットワークの定量化を行った。その内の42人(女性12人と男性30人、25~32歳)は、機能的磁気共鳴画像(fMRI)実験に参加した。この実験で、被験者は、さまざまなトピックとジャンル(コメディー、ドキュメンタリー、ディベートなど)のビデオクリップのコレクションを視聴し、その間に脳活動の測定が行われた。その結果、fMRIの反応によって測定される知覚環境の解釈と情動応答に関与すると考えられている脳領域の活動について、友人関係にある者が同じビデオクリップを視聴している場合の方が、社会的ネットワーク上で遠く離れた人々の場合よりも類似性が高いことが判明した。また、2人の被験者の脳活動の類似性を利用して、被験者グループの別の2人の友人関係の状況と社会的距離を予測し得ることが明らかになった。
Parkinsonたちは、以上の結果に基づいて、友人関係にある人々は、周囲の世界をどのように知覚し、周囲の世界にどのように応答するのかという点で似ている可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-017-02722-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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