【生態学】カササギフエガラスは大きな群れで生活する個体の方が賢い
Nature
2018年2月8日
カササギフエガラスは、大きな群れで生活する個体の方が高い認知パフォーマンスを示し、これが高い繁殖成功度と関連していることを報告する論文が、今週掲載される。この研究結果は、社会環境が認知形質の形成と進化の推進に重要な役割を担っていることを示唆している。
安定した社会的群れで生活する生物種の場合、個体群内の群れの大小によって情報処理の需要に格差が生じ、それが認知形質に影響を与える可能性がある。これまでの研究では、ヒトや飼育下のカワスズメ科魚類(シクリッド)、飼育下のマカクザルの場合に脳構造の測定値が群れの大きさと関連していることが判明しているが、野生動物における群れの大きさと認知パフォーマンスの関係は解明されていなかった。
今回、Benjamin Ashtonたちの研究グループは、野生のカササギフエガラスの個体群において群れの大きさから個体の認知パフォーマンスを予測できるかどうかを調べた。対象は14の群れを形成する56羽で、それぞれの群れの個体数は3~12羽と幅があった。Ashtonたちは、空間記憶などの脳の情報処理過程を測定するために設計された4つの課題を用いて、個体の認知パフォーマンスを定量化した。その結果、4つの課題全てで成体の認知パフォーマンスを予測する因子として最も有力だったのが群れの大きさであり、大きな群れの個体の方が小さな群れの個体よりも課題の成績が優秀であることが分かった。このような群れの大きさと認知パフォーマンスの関係は、早い時期(巣立ちから200日後)に出現した。さらにAshtonたちは、それぞれの課題における雌のカササギフエガラスの成績と繁殖の成功を示す3つの因子との正の関連を明らかにした。以上の結果から、Ashtonたちは、認知パフォーマンスが向上することの選択的利点の1つが繁殖の成功である可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/nature25503
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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