【技術】ドローンによる配達で輸送部門の二酸化炭素排出量を削減できる可能性
Nature Communications
2018年2月14日
商業運送業者がドローンを使って小包を配達すると、特定の状況下で輸送部門の温室効果ガス排出量とエネルギー消費量が減る可能性のあることを報告するモデル研究が、今週発表される。今回の研究では、ドローンによる配達を採用するとトラックによる配達よりも環境にとっての利益が大きくなるシナリオが明らかになった。
将来的には商業運送業者による小包の配達にドローンが幅広く採用されて、現在のトラック輸送より配達時間が短縮されることが予測されている。化石燃料で動く自動車からバッテリーで動くドローンへ移行することによって、温室効果ガス排出量とエネルギー消費量が削減される可能性がある。
今回、Joshuah Stolaroffたちの研究グループは米国において、ヘリコプター、小包の配達に利用されることが予想される特定の種類のドローン、および運搬用のディーゼルトラックの場合の影響を比較した。Stolaroffたちはエネルギー消費モデルを作成し、ドローンの場合に小包1個当たりと1 km当たりのエネルギー消費量がトラックより少ないが、必要な倉庫(保管場所)の面積が大きくなり、そのためにエネルギー需要と温室効果ガス排出量が増加することを明らかにした。それでも、このエネルギー消費モデルによれば、小型ドローン(例えば、クアッドコプター)による小型包装物(0.5 kg)の配達であれば、トラックの場合より温室効果ガス排出量とエネルギー消費量が減ることが明らかになった。中型の包装物(8 kg)の配達の場合には、ドローンは、カリフォルニア州でトラック輸送よりも温室効果ガス排出量が9%少ないが、ミズーリ州ではトラック輸送より50%多くなる。
Stolaroffたちは、将来的にドローンによる配達システムの実施を考えている規制当局と企業に対し、予想以上に広い倉庫面積が必要であること、および陸上輸送機械のエネルギー効率が向上することを考慮に入れるべきであると注意を促している。
doi:10.1038/s41467-017-02411-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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