【持続可能性】小規模農家の未来に明るい見通しをもたらす農業介入
Nature
2018年3月8日
中国の数百万か所の農場を10年にわたって研究した結果、小規模農業の生産性と持続可能性は、比較的簡単な農場管理方法によって向上できることを報告する論文が、今週掲載される。持続可能な農業は、小規模農業が支配的な地域での実現が最も難しい。小規模農家は全世界に約25億人おり、可耕地全体の約60%が小規模農家によって管理されているが、小規模農家はそれぞれの農場における資源が限られており、効率が悪い。例えば、中国には2~3億世帯の小自作農がおり、それぞれが数ヘクタールを耕作しているため、資源の浪費が起こっている。中国での窒素系肥料の散布量は、年平均でヘクタール当たり約305キログラムで、世界平均の74キログラムを上回り、こうした過剰散布は、土壌の酸性化、水質汚染、温室効果ガス排出の原因となっている。
Fusuo Zhangたちは論文の中で、中国の小規模農家の農場におけるトウモロコシ、イネ、コムギの栽培の生産性と環境への影響を改善する単純明快な農業介入を紹介している。今回の研究では、この農業介入が1万3000回以上の圃場試験で精緻化された後、従来型農法との比較が行われた。次にZhangたちは、研究者、農業技術者、および農業関連産業従事者(合計約20万人)の連携を作り、キャンペーン、ワークショップ、農場見学を実施して、中国全土の約2100万か所の小規模農家の農場にこの農業介入を広めた。
この農業介入の成果は、作物の種類と気候に左右されたが、今回の方法を用いた場合に平均収量が10%以上増加し、肥料の使用量が約15%減少した。以上の結果をまとめると、全体的な利益が122億ドル(約1兆3420億円)増加し、窒素汚染が13.3~21.9%減少し、温室効果ガス排出量が4.6~13.2%減った。
doi:10.1038/nature25785
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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