Research Press Release
抑制に成功
Nature Neuroscience
2011年5月30日
ある特定の課題の遂行に成功するかどうかは、脳のデフォルトネットワークとして知られる散在した領域群が無関係な背景刺激により誘発される活性レベルと相関することが、Nature Neuroscience(電子版)に発表される。この結果はこの領域群の新たな役割を示唆するものだ。
ある課題を行うとき、手元の課題と無関係かもしれず気が散る情報は無視されることが多い。A Gazzaleyらは機能的磁気共鳴画像法を利用して、顔と家を重ね焼きした写真を見たときの脳の活性を観測した。実験で被験者は、家を無視して顔を覚えるか、その逆を覚えるかしなければならなかった。
以前の研究に即して、被験者が顔または家のどちらに注意を払っているかによって、関連する脳の視覚領域が変わることがわかった。さらに興味深いことに、これら領域と、デフォルトネットワークとして知られる領域群は協調して活性が低下することがわかった。デフォルトネットワークは他 の領域と異なり、人が課題に没頭しているときより休息しているときのほうが活性が高まる。Gazzaleyらは、被験者が無関係な刺激を無視しようとしてデフォルトネットワークの活性が低下するほど、課題の遂行が早くなることを見いだした。このことは、デフォルトネットワークのもつ、課題に無関係な情報を抑制するという従来発見されずにいた役割を示唆している。
doi:10.1038/nn.2823
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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