【気候科学】北極が温暖化すると米国を大寒波が襲う
Nature Communications
2018年3月14日
1950~2016年の観測データの解析によって、米国全土での極端な冬の天候が北極の温暖化と関連していることを示唆する論文が、今週掲載される。この関連は、特に米国東部において顕著で、北極の気温が異常に高い場合、米国東部が極端な冬の天候になる確率は2~4倍高くなる。
北極での温暖化の亢進と並行して、ユーラシアと米国東部では冬に寒冷化傾向が観測されている。この関連の原因が、地球温暖化なのか自然変動なのかという点は盛んに議論されている。これまでに行われた一部の観測研究では、中緯度域での極端な冬の天候と北極の異常な大気循環が同時に起こることが明らかになっているが、それは特定の年に限られていた。
今回、Judah Cohenたちの研究グループは、米国12都市での観測結果を1950年までさかのぼって解析し、北極の気温と米国での厳しい冬の天候の関連を明らかにした。今回の研究の新規性の1つは、中緯度域における冬季の天候の指標を、北極での気温および大気循環の異常と組み合わせた点にある。また、Cohenたちは、1990年以降に米国東部でこのような寒冷化現象が起こる頻度は上昇したが、北極の温暖化が亢進すると米国西部での寒冷化現象の発生頻度は低下したことを明らかにした。
Cohenたちは、この関連に対する機構的な説明はできないが、極渦の衰退がこうした影響をもたらしていることを示唆した過去の研究と整合している点を指摘している。
doi:10.1038/s41467-018-02992-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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