【海洋科学】海洋の酸性化に対するサンゴ礁の応答
Nature
2018年3月15日
グレートバリアリーフの天然のサンゴ礁群集の上を流れる海水の酸性度を人工的に上昇させると、サンゴの石灰化が約3分の1減ることを報告する論文が、今週掲載される。海洋酸性化は、サンゴ骨格の主要成分であるアラゴナイト鉱物の飽和度を低下させ、造礁に必要な炭酸イオンの濃度を低下させるため、熱帯サンゴ礁の生態系に対する重大な脅威となる。この新知見は、近い将来、海洋のアラゴナイトの飽和度の低下によってサンゴ礁の機能が損なわれることを示唆している。
サンゴ礁は、世界の数百万の人々に食料を提供し、海岸を保全し、年間数十億ドルの観光収入を生み出している。海洋の酸性化がサンゴ礁に与える影響に関する過去の研究では、個々の種の反応が注目され、もっと複雑な群集レベルの応答は評価されていなかった。生態系の機能とそれに関連するサービスについて予測できるかどうかは、最終的には、環境の変化に対する応答を、我々が群集スケールおよび生態系スケールで理解できるかにかかっている。
今回、Rebecca Albrightたちの研究グループは、グレートバリアリーフ南部にある400平方メートルの天然のサンゴ礁群集をアラゴナイトの飽和度の低い状態にさらして、全球的な二酸化炭素排出量が大幅削減されない場合に21世紀後半に起こると予想される石灰化レベルのシミュレーションを行った。Albrightたちは、研究室での実験ではなく、自然環境において二酸化炭素濃度を上昇させたことで、酸性化に対するサンゴ礁群集全体の自然の気温、光、栄養素の条件下での石灰化応答を監視できた。その結果、生態系を著しく損なう可能性のある酸性化したサンゴ礁群衆において、純石灰化量が34%減少することが見いだされた。
doi:10.1038/nature25968
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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