Research Press Release

1滴の血液から敗血症を迅速に検出

Nature Biomedical Engineering

2018年3月20日

1滴の血液から敗血症を検出できる簡単な検査法を示した論文が、今週発表される。この検査法は迅速で低コスト、かつ正確であり、敗血症リスク患者のモニタリングにも容易に応用できると考えられる。

敗血症は、重度の感染に対する体の極端な反応が組織や器官を傷つける状態で、命に関わるものであるが、約30%の患者で誤診が発生する。現在の検査法は特異性が低いためだ。また、感度も低く検査結果が出るまでに数日を要するため、無用の抗生物質が処方されることになり、抗生物質耐性株細菌の広がりが助長されている。

Daniel Irimiaたちは、新しいマイクロ流体分析装置を考案した。この装置は、1滴の血液で複雑な流路が満たされ、機械学習アルゴリズムが、免疫系で最初に応答する好中球の流路中の動きを敗血症の重症度と相関させて、「敗血症スコア」を計算する。この検査はわずか数時間で完了することが示され、患者42例を対象とした二重盲検観察研究から、健常者と敗血症患者を、敗血症スコアによって95%以上の感度と特異性で識別できることが明らかになった。

この検査法は、さらに大規模で多様な患者集団で検証する必要があるものの、高リスク敗血症患者の生存率を改善するとともに、抗生物質の過剰使用を抑制する可能性がある。

doi:10.1038/s41551-018-0208-z

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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