【考古学】コロンブス以前のアマゾン川流域には人間が広範囲に居住していた
Nature Communications
2018年3月28日
コロンブス以前の時代、すなわちアメリカ大陸にヨーロッパ人が到来した1490年代よりも前の時代に、人間集団の居住域がアマゾン川流域の南部全体に広がっていたことを示唆する研究論文が、今週掲載される。この論文には、紀元1250~1500年のものとされるタパジョース川上流域の要塞化された村など、新たに発見された土工事の跡について報告されている。この研究結果は、コロンブス以前の時代に1800キロメートルにわたるアマゾン川流域南部が土工事の文化圏であったことを示唆している。
今回、Jonas Gregorio de Souzaたちの研究グループは、人工衛星画像を用いてブラジルのタパジョース川上流域を調査し、81か所の考古遺跡と合計104か所の土工事の遺構を新たに発見した。同研究グループは、そのうちの24か所の遺跡で地盤調査を行い、陶磁器、研磨された石斧、人為起源の黒色土(コロンブス以前のタイプの施肥土壌)、および貝塚(家庭ごみの捨て場)を発見し、こうした遺跡に人間が居住していたことを確認した。これらの考古遺跡には、溝に囲まれた小規模な土地(直径約30メートル)から大規模な要塞化された六角形の居留地(直径約400メートル)までさまざまなものがあり、要塞化された居留地には、広場を囲む複数の土塁や、切通しがあったと考えられている。
研究グループは、既知の土工事の分布と規模に基づいて、コロンブス以前の時代の後期にアマゾン川流域の南縁部の40万平方キロメートル以上の地域に類似の居留地が広がっており、総人口は50~100万人だったと推定している。また彼らは、これらの知見に基づいて、この地域がコロンブス以前の文化の発展において果たした役割を再評価することを提唱している。
doi:10.1038/s41467-018-03510-7
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