地球の淡水の流れを追跡する
Nature Sustainability
2018年4月17日
河川監視能力が世界的に低下しており、米国では一進一退していることを報告する論文が今週掲載される。気候の温暖化と水の乱用はどちらも淡水資源を危機にさらすため、河川を監視できなくなると、健全な河川に依存している給水や生態系を維持できなくなる可能性がある。
淡水資源を確実に追跡することは、洪水や渇水のリスクを管理し、水需要のバランスを取るのに不可欠である。淡水資源の追跡には、機能する流量計を設置して絶えず監視し、調査報告書を公開する必要があるが、データの有効性が低下している可能性がかなり前から警告されている。
今回A Ruhiたちは、河川流量記録の最大の国際リポジトリを管理する世界河川流量データセンター(GRDC)と、米国に重点を置いたデータソースである米国地質調査所の水情報システム(NWIS)双方のアーカイブを調べた。
著者たちは、これらのサイトに報告をしている作動中の流量計の数えることで世界の河川監視の取り組みを測定し、こうした取り組みが1979年以降に50%以上縮小していることを見いだしている。米国では、おそらく米国地質調査所の財源が変化したため、報告を行っている観測所の数が数十年間減少した後、1990年代に急増した。データ報告能力を失う恐れがある米国の河川流域のうち、約半数は水不足になっており、約3分の1は洪水リスクが高く、約3分の1は魚種の多様性が高い。こうした知見から、政府と市民がインフラストラクチャーの優先順位について議論する際には、道路や橋だけでなく、淡水のオープンアクセスデータの収集も検討すべきであることが示唆された。
doi:10.1038/s41893-018-0047-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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