地球の初期のパルスが最初の安定地殻を形成した
Nature Geoscience
2018年4月17日
地球最古の安定地殻は、複数回にわたるパルス的なひっくり返り現象の際に形成された可能性があることを報告する論文が、今週発表される。
今日の大陸地殻は、プレートテクニクスによって形成されており、そうした形成の大部分は、1つのプレートが他方の下に沈み込むところで生じる火山活動を介するものである。しかし、始生代(40億~26億年前)の時代には、地球はおそらく現代のプレートテクトニクスの様式を維持するには高温過ぎたのではないかと考えられている。そうではなく、大陸地殻は重力的不安定により形成された可能性がある。この筋書きでは、初期にマントルから分離したさまざまな密度の鉱物の混合物が結晶化して、原始地殻を形成したとされる。密度の大きい成分は重力的に不安定で、これによって大きな地殻の塊がひっくり返され、マントルに再循環された。この過程は、密度の小さい成分が表面に濃縮し安定した地殻を形成するまで繰り返された。このようにして形成された地殻は、西オーストラリア・ピルバラ地域にあるクラトン(古い大陸地殻で、地質学的に安定した領域)に保存されていると提案する研究者もいる。
今回Daniel Wiemerたちは、東ピルバラ・クラトンの岩石の年代を測定し、熱力学的モデルを用いて、想定される重力的なひっくり返りを再構成した。彼らは、この岩石が36億~34億年前の約1億年間継続したひっくり返り事象の際に形成されたと提案している。また、既存のデータを用いて、同様な事象がインドやアフリカのクラトンにも記録されていると主張している。彼らは、それぞれのクラトンに安定した大陸地殻を形成するためには、それぞれが約1億年間継続する計3回の重力的ひっくり返り循環が必要であると示唆している。従って、このような循環は初期地球の「パルス」を表している可能性がある。
doi:10.1038/s41561-018-0105-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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