Research Press Release
【環境科学】森林火災による二酸化炭素排出の減少傾向
Nature Communications
2018年4月18日
1930年代以降、人口密度の上昇と耕地面積の増加に伴って、世界中で森林火災によって焼失した土地の総面積とそれと関連した二酸化炭素排出量が減少していることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、人口密度の増加に関連した火災による二酸化炭素排出量の減少によって、陸域による炭素吸収が増加したことを示唆している。
今回、Vivek AroraとJoe Meltonは、1850~2014年における耕地面積の増加と人口密度の上昇が森林火災に及ぼした影響と、それに関連した陸域による炭素吸収への影響を定量化した。研究チームは、モデルシミュレーションを用いて、1997~2014年の堆積物-炭化記録と人工衛星による観測結果を比較し、耕地面積の増加による森林火災で二酸化炭素排出量が減少しても、陸域での炭素吸収が増加しないことを明らかにした。しかし、人口密度の上昇に関連した森林火災の抑制と地形の分断化によって二酸化炭素排出量が減少したことで、1960~2009年に年間炭素吸収量が1億3000万トン増加した。これは、同期間における全球的な陸域での炭素吸収量の約19%に相当する。
研究チームは、森林火災による二酸化炭素排出量が全球的に減少していることが、現在の陸域での炭素吸収に寄与する数々の機構の1つだと考えている。
doi:10.1038/s41467-018-03838-0
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