【動物学】オビキンバエは口から唾液を垂らして体温を下げる
Scientific Reports
2018年4月20日
オビキンバエは、口から唾液の液滴を垂らし、その後再び体内に取り込むという風変わりな方法で体温を下げていることを報告する論文が、今週掲載される。
今回、Guilherme Gomesたちの研究グループは、オビキンバエが口から唾液の液滴を垂らすと、その一部が蒸発して冷却されることを明らかにした。オビキンバエが、その唾液を再び摂取すると、オビキンバエの体温が低下するという仕組みだ。また、Gomesたちは、気温が上昇すると、オビキンバエがこの行動を繰り返す頻度が高くなることも明らかにし、この行動が体温を最適レベルに維持するために役立っているという考えを示している。
しかし、オビキンバエが非常に活動的な時には、この行動が見られなかった。その理由として、オビキンバエが飛翔するためには筋肉が温まっている必要があることをGomesたちは指摘している。また、この行動は湿度の高い環境では有効でないことも判明した。空気中に含まれる水分のために唾液の液滴が蒸発しにくくなっているからで、周辺環境の湿度が高いほど、この行動が観察される頻度が低くなった。Gomesたちは、他の昆虫も似たような方法で体温の調節をしている可能性があるという仮説を提示している一方で、この方法が有効なのは小動物だけであるとも指摘している。その理由は、それぞれの動物が、体のサイズに合わせて、体温を下げるために十分な大きさの唾液の液滴を産生する必要がある点にある。
doi:10.1038/s41598-018-23670-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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