【科学コミュニティー】学会で女性が口頭発表を行う機会の分析
Nature Communications
2018年4月25日
米国地球物理学連合(AGU)の秋季大会では、女性研究者の発表機会が、男性研究者と比べて全般的に少なかったことを報告する論文が、今週掲載される。著者たちは、この結果は、AGUの性別人口統計(キャリアステージ別に見ると、発表機会のより少ない学生において、女性の比率が飛び抜けて高い)の影響を受けていると述べている。キャリアステージの影響を補正すると、口頭発表者の数で男女差はほとんど見られなくなり、特定のキャリアステージでは女性の招聘著者の数が男性を上回ることが多かった。
科学系の学会で発表を行うことは、研究結果を広める上で役立つだけでなく、発表者の専門家としての認知度を増し、科学におけるキャリアを前進させるための基礎となる。AGUの秋季大会は、世界最大の地球物理学の学術会議であり、2万編を超える論文抄録が発表される。
今回、Heather Fordたちの研究グループは、2014~2016年のAGUの秋季大会の論文抄録データベースに登録されたデータを用いて、筆頭著者の性別とキャリアステージ、発表の種類、招聘されて発表したかを調べた。また、代表コンビーナの性別とキャリアステージについても調べた。その結果、コンビーナが男性の場合、全てのキャリアステージにおいて女性より男性に発表機会を与えることが多いことが分かった。男性のコンビーナが管理する論文抄録の割合の方が大きいため、これが学会に招聘される女性発表者の全体的な数に影響を及ぼしていた。
Fordたちは、もっと多くの学生とキャリア初期の女性が研究発表できるようにし、女性がコンビーナになりやすくすれば、科学系の学会における男女間の不均衡を減らし、科学・技術・工学・数学(STEM)分野への女性の進出を支援できるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-018-03809-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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