Research Press Release
【健康科学】心筋細胞死を検出する方法
Nature Communications
2018年4月25日
非侵襲的で細胞特異的な心筋細胞死の検出法を紹介する論文が、今週掲載される。この手法では、死につつある心筋細胞が循環血液中に放出した無細胞DNAを測定する。期待される用途としては、細胞死に関連する心臓病態(心筋梗塞や敗血症)の診断とモニタリングなどがある。
今回、Yuval Dorたちの研究グループは、ヒト心筋細胞のDNAのメチル化パターンを同定し、このパターンを血液検査によって測定する手法を開発した。この手法を用いると、心臓発作を起こした患者を高い感度と特異性で診断でき、その性能は、臨床で心臓組織の損傷を検出する最も標準的な方法である血中トロポニンタンパク質濃度による検出法に匹敵する。敗血症患者では、血漿に含まれる心臓特異的な無細胞DNAマーカーの濃度が非常に高く、大量の心筋細胞死が起こっていることが示唆されている。今回新たに同定されたマーカーは、敗血症によって短期間で死亡する症例の予測因子として、トロポニンよりも強力だ。
循環血中の無細胞DNAと細胞死との関連を決定的に実証する必要があるが、Dorたちは、今回開発された手法が既知の心臓損傷のバイオマーカーを補完し、心筋細胞死と回復可能な細胞損傷を臨床的に峻別する上で役立つ可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-018-03961-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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