Research Press Release
聴覚障害は触覚の鋭敏化に関連
Nature Neuroscience
2011年11月21日
ヒトやマウスで聴覚障害を引き起こす遺伝的変異は触覚の鋭敏化ももたらすことが、Nature Neuroscience(電子版)に報告される。 耳の神経イオンチャネルのうち特定の1種類をコードするKCNQ4と呼ばれる遺伝子に変異をもつヒトは、遺伝性で徐々に進行する型の難聴を示す。この遺伝子の欠損マウスや、ヒトと同じ変異を発現する遺伝子改変マウスもまた聴覚障害を生じる。これらマウスの耳にある感覚細胞は音に応答せず、徐々に細胞死することがわかっている。G Lewinらは今回、このKCNQ4遺伝子が触覚応答神経細胞の一部でも発現していることを示した。KCNQ4遺伝子から発現するタンパク質が機能不全になるよう遺伝子改変したマウスでは、ある種の接触、特に低周波振動に対する感受性が高まることが示された。KCNQ4遺伝子の同じ変異をもつ難聴の被験者も同様に、触覚検査でよい成績がみられた。
doi:10.1038/nn.2985
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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