【地球科学】淡水の利用可能量の全球的変化を示したマップ
Nature
2018年5月17日
全世界における淡水の利用可能量の動向について報告する論文が、今週掲載される。陸上の貯水量の動向を理解することは、ヒトと生態の持続可能性を管理する上で極めて重要なことだ。
淡水の利用可能量は全世界で変化しているが、この変化を全球スケールで評価することは極めて難しい。この点に関する我々の知識のかなりの部分は、限られた規模の陸上での現場観測によるものだが、多額の費用がかかることがあり、淡水の利用可能量の完全な評価が得られていない。
今回、Matthew Rodellたちの研究グループは、重力測定衛星GRACEによって得られた2002~2016年の陸上の貯水量の記録を分析した。このデータから、貯水量が大きく増えた地域と大きく減った地域が明らかになり、これらの地域が近接していることもあった。これらの動向のいくつか(例えば、中国北西部とボツワナのオカバンゴ湿地帯での大きな変化を裏付ける動向)についてはこれまで徹底した調査と原因分析が行われてこなかったが、一方、他の動向は気候モデルによる予測と矛盾しないことが明らかになった。今回の研究で得られた新知見は、いずれの地域における変化も非人為的な気候変化と人間活動の総合的な影響を反映しており、各国での水の管理と国際的な水の管理を組み合わせたアプローチが必要なことを示唆している。人間活動による影響と気候変動に対する全世界の給水量の応答を観測に基づいて評価することで、水と食料の確保を脅かす新たな要因の評価と予測のたたき台が得られる。
doi:10.1038/s41586-018-0123-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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