バオバブの木の不可解な枯死
Nature Plants
2018年6月12日
最大級かつ最高齢級のアフリカバオバブの木が謎の枯死に襲われていることを報告する論文が、今週掲載される。
バオバブの木は、果実の形状から「死んだネズミ(dead-rat)」の木としても知られる世界でも指折りの特徴的な植物で、枝のない太くて大きな幹が柱のように見える。アフリカバオバブは、数千年とまではいかなくても数百年生きることがあり、中には幹が数百立方メートルにも及ぶものや、中心が巨大な空洞になっているものもある。
Adrian Patrutたちは、バオバブの木がこれほど大きくなることを可能にした生物学的特性および構造を明らかにするために、アフリカの最大級で最高齢級と考えられるバオバブの木を60本以上分析した。研究チームは、放射性炭素年代測定法を用いることにより、それぞれの木の幹の異なる部分から採取した試料の年代を明らかにした。
その結果、予想外なことに、最高齢級の13本のうち8本、最大級の6本のうち5本は、2005年以降、完全に枯死しているか、さもなければ最も古い部分が崩壊していることが分かった。バオバブの木は複数の茎や幹からなる環状構造を有するが、これらの茎や幹は年代が異なる場合が多く、環状構造は、互いに融合して閉じた輪を形成することもあれば、開いたままのこともある。このような空洞(擬樹洞;false cavity)は、バオバブの木に特有のものである。
今回調べた中で最高齢級の木の場合、このような環状構造はそれぞれ数百年にわたって存在してきた茎によって構成されているが、中には全ての茎が突然枯死していているものもあった。研究チームは、気候変動がバオバブのその生育場所で生き延びる能力に影響を与えている可能性を示唆している。ただし、この結論を支持するデータはまだ得られていない。
doi:10.1038/s41477-018-0170-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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